
その朝、世界は白かった。
窓の外には雪が積もり、
空気はきゅっと引き締まり、
吐く息はすぐに白くほどけていく。
男は椅子に座り、
テーブルの上の小さな灯炉に火を灯す。
ぱち、と乾いた音。
冬の火は、どこか背筋の伸びるような明るさを持っている。
その上のクッカーから、
しだいに湯気が立ちのぼる。
湯気は、外の白さとは違う、
やわらかな温度をまとって揺れている。
猫は丸くなり、
尻尾だけが小さく動く。
男はコーヒーを淹れ、
両手でカップを包み込むようにして
一口、口にする。
そして、
静かな冬の空気に向かって呟く。
「友よ、寒い日は無理をしなくていい。
止まることも、旅のうちだ」
トゥイーブ。
余白の方へ。