『大・会・食』第十四話 現代の若者

第十四話 現代の若者

個性は、火の色で決まる。
それはアンデスの鍋が記憶になった翌朝のことだった。

男がミニかまどの火皿に火を灯すと、
どこからともなく、
「その火、映えますね」
という、やけに軽やかな声。

振り返ると、
そこには現代の若者が立っていた。
肩には自撮り棒、
手にはスマホ、
目は湯気の色を見ていた。

彼女は、
火を見て自分を思い、
鍋を見て表現を感じ、
湯気を見て投稿を思い出した。

「この器、色がいいですね。
まるでフィルター越しの自分みたい。」

男は、
この人は何を見せようとしているのかよくわからなかったが、
とりあえず火皿を貸した。

若者の料理
「アボカドと紫米と、少しのエビ」

若者は、
アボカドを切り、
紫米を盛り、
エビを並べ、
ミニかまどに鍋を置いた。

火は鮮やかに灯り、
湯気が立ち上がる。

その湯気は、
まるでストーリーのエフェクトのようだった。

火の哲学
「個性は、火の色で決まる」

若者にとって、
火はただの熱ではない。
“色を持つもの”である。

火の彩度、
鍋の構図、
湯気の流れ、
それらすべてが、
個性になる。

そして、
その個性がまた火を育てる。

そして、鍋が煮えた瞬間
文明は、投稿になった。

男は、
その鍋を一口味わい、
そして小さく呟いた。

「……これは、映える味だな。」