外典:風を聴く者の年代記 第七章

第七章:風の旅立ち

ある冬の朝、
風を聴く者は、
火をひとつ整え、
猫の頭を撫で、
静かに外に出た。

風が吹いた。

彼は風の中に溶けるように姿を消した。

まちは騒がなかった。
人々は知っていた。

「あの人は、次の場所を調律しに行ったのだ」と。

火はまだ揺れていた。
猫はまだ眠っていた。
静けさは、まちに残っていた。